著名弁護士、不同意わいせつ未遂事件に私見「かなり衝撃的」「誰も異性を助けに行けなくなる」…一方で異論を唱える弁護士も

via 岡野タケシ氏公式X
弁護士でYouTuberとしても活動する岡野タケシ氏が15日、自身のX(旧ツイッター)を更新。札幌市で発生した不同意わいせつ未遂容疑での逮捕事案に関する報道を引用して私見を述べ、大きな反響を呼んでいる。

岡野氏が引用したのは、HTB北海道ニュースが報じた「『介抱しただけです』不同意わいせつ未遂の疑いで会社員の男(56)逮捕」という記事。

報道によれば、今月4日夜、札幌市の駐車場で10代後半の女性にわいせつな行為をしようとしたとして、56歳の会社員の男性が逮捕された。女性は帰宅途中に体調不良で休んでいたところ、男性が「大丈夫ですか」などと声をかけて体を触った際に性的な部分も触ろうとしたという。男は報道を見て7日に出頭し、「介抱しただけ」と容疑を否認していると伝えられている。

この報道に対し、岡野氏はXで「不同意わいせつ『未遂』で逮捕って、かなり衝撃的」と切り出した。

続けて、「『未遂』ってことは、女性側の証言によっても、実際にわいせつな行為は行われていないということになる。女性の主張は『触られそうになった』であって、実際に触られたわけではない」と指摘。その上で、「これは女性側の思い込みや誤解の可能性もあるはず。状況によっては、介抱の動作が誤解されることも十分あり得る」との見方を示した。

さらに、「男性はニュースを見て自ら出頭している。それなのに、逮捕という強制捜査に踏み切る必要が本当にあったのかは疑問」と、逮捕の必要性についても疑問を呈した。そして、「善意の行動が疑われ、誤解で逮捕されるリスクがあるとしたら、誰も異性を助けに行けなくなる」と、このような事案が社会全体に与える影響への懸念を表明した。

■ネットの意見は賛否両論

この岡野氏の問題提起はネット上で広く拡散され、様々な意見が寄せられている。「プロの弁護士から見ても疑問ってよっぽどだな」「弁護士からまともな見解が聞けた」といった声や、「倒れている人を見つけても放っておくのが正解な世の中になってしまうのだろうか」と、岡野氏と同様の懸念を示すコメントが見られる。

一方で、「警察が監視カメラの映像を確認とあるから気分悪くて座ってるだけの女性に近づいて触ろうとしたのは確かでは」「倒れていたとかならともかく、普通はいきなり体は触らない」「逮捕まで踏み切ったのは何か根拠があったのかも」などの意見も上がっている。

異なる視点を示すYoutuber弁護士も

今回の事件報道に対し、異なる視点を示す弁護士もいる。 YouTuberとしても活動する弁護士・税理士の藤吉修崇氏は、15日に自身のXで連続投稿を行い、今回の逮捕事案について解説した。

まず、不同意わいせつ罪の「未遂」の成立要件について、藤吉氏は「悪いこと考えただけ」では成立せず、「わいせつ行為に向けた具体的な行動に着手した場合」「たとえば服に手を突っ込もうとした、押し倒して服をめくろうとしたなど」の場合に認められると説明。「ただ介抱されてただけとか、女性が勝手に気持ち悪いと感じただけでは未遂にならない。今回、未遂で逮捕されてるってことは、それなりに踏み込んだ行為があったってこと」と、逮捕に至った背景には相応の行為があった可能性を示唆した。

また、容疑者が自ら出頭しているにも関わらず逮捕された点についても、「出頭したから逃亡の恐れなしにはならない」と指摘。被害者と容疑者の供述が大きく食い違う場合、「警察としては証拠隠滅や逃亡の可能性ありと見た」可能性があり、防犯カメラ映像なども含めた「総合判断して、逮捕という手段を選んだと考えられる」と述べた。

さらに、ネットで散見される「これじゃ誰も介抱できなくなる」論については、「AEDみたいに命に関わるような話ならともかく、酔っ払って座り込んでる見知らぬ女性を、見ず知らずの男が密着して介抱する必要な場面って実際そんなにあるか?」「離れて声かければよくね?」と疑問を投げかけた。

藤吉氏は、「もし冤罪だったとしたら、それはとてつもなく重い」としつつも、「安易に『誤解された可哀想な男』という物語に乗っかるのも危うい。警察が動いた背景には、報道に出ていない証拠や供述があるから」として、安易な断定に警鐘を鳴らしている。