NZ女性議員、議会で自身の“ヌード写真”を掲げる…前代未聞の行動の理由とは

ニュージーランドの議会で、女性議員が自身の“ヌード写真”を掲げるという前代未聞の行動が起きた。

現地メディア『NZ Herald』などの報道によれば、同国の政党「ACT党」に所属するローラ・マクルー（Laura McClure）議員が5月14日、AIによって生成された自身のヌード画像（ディープフェイク）を議会で掲示し、性的ディープフェイクの規制強化を強く求めた。

マクルー議員は、Google検索で見つけたウェブサイトを利用し、約5分で自身のディープフェイク画像を作成したという。議会の場で自身の裸体のディープフェイクを掲示するという行動は、本人にとっても大きな葛藤を伴ったようだ。

「この画像は私の裸の写真です。でも、本物ではありません。AIによって作られたもので、私の公開写真をもとに“それらしく”作られたのです」と、彼女は発言した。

マクルー氏は、この衝撃的な演出の意図について自身のFacebookで、「本物そっくりに見えますが、それが問題なのです」と説明。被害者の多くが女性や少女であり、現行法ではこうしたディープフェイクを明確に禁じる規定がないことから、「誰もが、自分の偽の画像がネットに出回り、無力感に苛まれるようなことがあってはならない」として、法整備の必要性を強く訴えている。

実際、ニュージーランド法曹協会によれば、現在インターネット上に流通しているディープフェイク動画の約95％は非同意の性的コンテンツであり、その多くが女性を対象にしているという。

マクルー議員は、こうした現状に対し強い危機感を持っており、既存のリベンジポルノ法やプライバシー関連法ではカバーしきれない領域に対し、新たな法制度の必要性を訴えている。

彼女が提出した「Deepfake Digital Harm and Exploitation Bill（ディープフェイクによるデジタル危害および搾取防止法案）」は、ディープフェイクによって生成された性的コンテンツの作成や流通を、被害者の同意なしに行った場合、刑事責任を問うことができる新たな枠組みを目指すものである。

この問題に関しては、イギリスやアメリカ、中国、オーストラリアなどでも法整備が進められており、マクルー議員はニュージーランドもその動きに追随すべきだと主張する。

彼女の行動は賛否を呼びながらも、ディープフェイクという新たなテクノロジーの闇を議会に可視化させた点で、大きな反響を呼んでいる。