サラダを食べるとプラスチックが体内に？最新研究が示す驚きの実態

あなたが何気なく食べているサラダ。その野菜の中に、目には見えないマイクロプラスチックが潜んでいるかもしれない──。

2025年に学術誌『Environmental Sciences Europe』に掲載された最新の総説論文は、プラスチック微粒子が農業を通じて食物連鎖に入り込み、深刻な環境・健康リスクを引き起こしている可能性を詳述している。

論文によれば、プラスチックが農業土壌に蓄積する主な原因は以下の通り。

・ビニールマルチ（農業用フィルム）: 雑草抑制や水分保持のために土壌を覆うプラスチックシートは、作物の収穫量増加に貢献する一方で、劣化して微細なプラスチック粒子となって土壌に残る。

・下水汚泥・有機肥料: 処理された下水汚泥や有機肥料には、不適切に除去されたマイクロプラスチックが含まれており、これらが農地に散布されることで土壌を汚染する。

・大気からの降下: 空気中に漂うマイクロプラスチックが、農地に降り注ぐことがある。

・その他: ゴミの不法投棄、プラスチック製パイプや工具、ゴムタイヤの摩耗なども原因となる。

こうしたプラスチックは、水域や大気中よりもはるかに多く土壌中に蓄積され、土壌の物理的・化学的特性や微生物の多様性に悪影響を及ぼすという。その量は水や空気と比べて4〜23倍に達するとされている。英国では年間22,500トン、欧米全体では11万〜73万トンが農地に流入しているという。

この研究は、プラスチックが土壌中の微生物やミミズなどの生物に与える毒性影響や、炭素・窒素循環への干渉、さらには作物の光合成や栄養吸収を妨げる可能性についても警鐘を鳴らしている。特に一部のナノプラスチックは植物の根や葉から吸収され、食用部位にまで移行する可能性があることが示唆されている。

さらに、マイクロプラスチックは有害な添加物（可塑剤など）や重金属を吸着・運搬する性質があり、それらが食物連鎖を通じて人間に取り込まれるリスクも指摘されている。研究では、リンゴやナシといった果物に数万〜数十万個のマイクロプラスチックが含まれている可能性があり、大人でも1日最大46万個のマイクロプラスチックを摂取しているとの推定もある。

しかし現時点では、土壌や食品中のプラスチックの安全基準は確立されておらず、検出手法の標準化も進んでいない。研究チームは、過剰濃度を用いた毒性試験が現実を正確に反映していないとし、環境中の実濃度に即した評価と規制が急務であると提言している。

論文は「プラスチック汚染の氷山の一角」と表現し、農地から私たちの食卓まで、知らぬ間にプラスチックが入り込んでいる現状に警鐘を鳴らす。今後は、科学と規制の連携によって、リスクベースの枠組みを構築し、食品や環境中のプラスチックに対する現実的な基準を設ける必要があるとしている。

The findings are based on a Environmental Sciences Europe.
URL:https://enveurope.springeropen.com/articles/10.1186/s12302-025-01104-x