トランプ米政権が4月9日、相互関税を90日間停止すると発表したことを受け、アメリカ市場は混乱の中で開場し、終盤には歴史的な急騰を記録した。しかしこの市場の激変を巡り、野党議員や専門家がトランプ大統領の対応に「市場操作の可能性がある」と厳しく批判している。
発表前に「今が買い時だ!!!」と投稿
疑念が高まるきっかけとなったのは、トランプ氏が関税一時停止を発表する数時間前に行ったSNSでの発言だ。米東部時間の午前9時37分、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した。
「今が買い時だ!!! DJT」
「今が買い時だ!!! DJT」
via Steven Horsford氏X
この「DJT」は、トランプ氏のフルネーム「Donald J. Trump」の頭文字であると同時に、彼が筆頭株主である「トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media & Technology Group)」の株式ティッカー(銘柄コード)でもある。
この投稿から数時間後の午後1時30分頃、トランプ大統領が「中国を除くすべての国に対する関税を90日間停止する」と発表したことで、S&P500をはじめとする主要株価指数は急速に上昇した。
この投稿から数時間後の午後1時30分頃、トランプ大統領が「中国を除くすべての国に対する関税を90日間停止する」と発表したことで、S&P500をはじめとする主要株価指数は急速に上昇した。
ホースフォード議員「これは詐欺の手口だ」
この一連の動きに対し、ネバダ州選出のスティーブン・ホースフォード下院議員(民主党)は、自身のXで激しく批判した。
「午前9時37分、トランプはフォロワーに株を買えと呼びかけた。市場は暴落中で、通商代表は関税を擁護するため歳入委員会に出席する予定だった」
「これは最高の詐欺的手口だ。無責任な統治であり、富裕層をさらに金持ちにするためのものだ」
「午前9時37分、トランプはフォロワーに株を買えと呼びかけた。市場は暴落中で、通商代表は関税を擁護するため歳入委員会に出席する予定だった」
「これは最高の詐欺的手口だ。無責任な統治であり、富裕層をさらに金持ちにするためのものだ」
シフ議員「インサイダー取引の危険」
カリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員(民主党)も自身のXで次のように述べ、政府内部者による利益取得の可能性に言及した。
「トランプは、その場しのぎの関税方針で市場を大きく揺らしている。こうした政策の揺れはインサイダー取引の危険な機会を提供する」
「政権内の誰がこの関税の方針転換を事前に知っていたのか?誰かが株を売買し、国民の犠牲で利益を得たのか?」
シフ議員は、ホワイトハウスに調査を求める書簡を送ると表明している。
「トランプは、その場しのぎの関税方針で市場を大きく揺らしている。こうした政策の揺れはインサイダー取引の危険な機会を提供する」
「政権内の誰がこの関税の方針転換を事前に知っていたのか?誰かが株を売買し、国民の犠牲で利益を得たのか?」
シフ議員は、ホワイトハウスに調査を求める書簡を送ると表明している。
元ホワイトハウス倫理顧問ペインター氏「訴訟リスクがある」
さらに、元ホワイトハウス首席倫理顧問で法学教授のリチャード・W・ペインター氏も、Xで次のように警鐘を鳴らした。
「大統領は投資アドバイザーではない。このような発言を続ければ、証券関連の訴訟や法的トラブルを招くことになる」
「大統領は投資アドバイザーではない。このような発言を続ければ、証券関連の訴訟や法的トラブルを招くことになる」
ホワイトハウスは反論
一方、現地報道によれば、ホワイトハウス報道官クシュ・デサイ氏は「米国大統領には、メディアが煽る恐怖に対し、国民と市場に経済的安心を与える責任がある。民主党は、トランプ大統領を攻撃するために藁にもすがろうとするのではなく、アメリカの偉大さを取り戻すために協力すべきだ」などと反論したという。
今回の一連の動きについては、今後の政府や関係機関による対応や調査の有無を含め、その動向に引き続き注目が集まることになりそうだ。