無人島で頭部のないイルカを発見、米当局が情報提供に懸賞金

via Stranded bottlenose dolphin in North Carolina marsh. Credit: UNCW
アメリカ・ノースカロライナ州の無人島「リー=ヒュータフ・アイランド」で、頭部を切断されたハンドウイルカの死骸が発見されたとして、米海洋大気庁(NOAA)が捜査に乗り出している。NOAAは、犯人の特定や有罪判決、民事罰の適用に繋がる情報提供者に対して最大2万ドル(約300万円)の報奨金を提示しており、全米で注目を集めている。

島で発見された“首なしイルカ”

問題のイルカは、2025年4月15日、一般の来島者が死骸を発見し、東南部海洋哺乳類ストランディングホットラインに通報したことで明らかになった。現場はボートでしかアクセスできない無人のバリアアイランドで、開発の手が入っていない自然豊かな地域だ。

通報を受けて現地に駆けつけたノースカロライナ大学ウィルミントン校のストランディングチームによると、イルカは体長約8フィート(約2.4メートル)のハンドウイルカで、死後に意図的に頭部が切断されていたという。切断は4月16日から18日の間に行われたとみられており、明確な「人為的な損壊行為」と断定されている。

「ブルセラ菌」感染の可能性も

さらに、現地チームが行った初期の健康評価では、このイルカがブルセラ菌に感染していた可能性が浮上。ブルセラ菌は、人間にも感染する細菌で、感染すると発熱や関節痛などを引き起こす「ブルセラ症」を発症する可能性がある。現在、大学側が遺体解剖を実施しており、正確な死因については引き続き調査中となっている。

米当局が情報提供に最大2万ドルの懸賞金

NOAAは本件について、「海洋哺乳類保護法(Marine Mammal Protection Act)に明確に違反する犯罪であり、捜査の協力を求めている」と声明を発表。野生イルカへの接触・危害・殺傷・餌付け、あるいは身体の一部の収集行為は厳しく禁止されており、1件につき最大10万ドルの罰金および最長1年の禁錮刑が科される可能性がある。

NOAAの発表によれば、今回の事件に関して提供された情報が犯人の特定や逮捕などに繋がった場合、最大2万ドル(約300万円)の報奨金が支払われる可能性があるという。通報はNOAAのホットラインで受け付けており、匿名でも通報可能だが、報奨金を受け取るには氏名と連絡先の提供が必要とされている。