「最強の学歴」を手に入れたはずの人々が、なぜこんなにも苦しんでいるのか──。
東大卒業生5人の“その後”を描いた池田渓氏による衝撃のルポルタージュ『東大なんか入らなきゃよかった』が、新潮文庫より3月28日に発売された。
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本書は、2020年に単行本として発表され、大きな話題を呼んだ作品の文庫化である。今回の文庫版では、登場人物たちの「5年後」を追跡取材した加筆部分も収録されており、東大という存在が個人の人生にどれほど大きな影を落とすかを、より立体的に描き出している。

東大卒であるがゆえの不幸

東京大学──それは日本の学歴社会の頂点に位置する存在である。政治家、財界人、法曹、研究者といったエリート層を数多く輩出してきた実績が、その名を不動のものとしてきた。しかし、すべての東大卒が順風満帆な人生を送っているわけではない。

本書に登場するのは、メガバンクで慶応卒にいじめられる銀行員、残業地獄に苦しむキャリア官僚、年収230万円の地下街警備員ら、東大に人生を狂わされた5人の卒業生たちである。

彼らは異口同音に語る。「東大にさえ入っていなければ、こんな人生にはならなかった」と──。

“選ばれし者たち”の内実

著者の池田渓氏も、東京大学農学部を卒業した東大出身者である。大学院に進み、博士課程まで進学するも中退。その後、出版社勤務などを経て、現在は文筆業に従事している。そんな池田氏だからこそ見えた「東大生の本当の姿」が、本書には赤裸々に記されている。

東大入学後の熾烈な内部競争、進級制度の厳しさ、就職活動における変化、さらには、東大生に共通する家庭環境の傾向、推薦入試の突破法など、これまで外部には語られることのなかった“驚きのリアル”が、本書のもう一つの見どころだ。

東大を多角的に理解するための2冊

なお、新潮文庫では、本書と同時に西岡壱誠氏の小説『それでも僕は東大に合格したかった─偏差値35からの大逆転─』も発売している。こちらは、ドラマ「ドラゴン桜」脚本監修などで知られる西岡氏自身の東大受験体験をもとに書かれた逆転合格ストーリーであり、学歴社会に挑む若者たちの希望と葛藤が描かれている。

また、それぞれの著者である池田氏と西岡氏の特別対談が、文芸誌「波」4月号に掲載されている。対談の中で両者は「東大は複雑な形をした多面体で、視点が異なるとまったく違った形に見える」と語っている。2冊を併読することで、東大という日本社会の象徴を、より深く、多角的に捉えることができるだろう。

■書籍データ

【タイトル】東大なんか入らなきゃよかった
【著者名】池田渓
【発売日】2025年3月28日
【造本】新潮文庫
【定価】825円(税込)
【ISBN】978-4-10-105881-8
Amazon:https://amzn.to/41Px4Rv
Kindle版:https://amzn.to/3FKNMc1
楽天ブックス:https://a.r10.to/hgITpN

【タイトル】『それでも僕は東大に合格したかった 偏差値35からの大逆転』
【著者名】西岡壱誠
【発売日】文庫
【定価】880円(税込)
【ISBN】ISBN978-4-105941-9
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Kindle版:https://amzn.to/4cf3ecL
楽天ブックス:https://a.r10.to/hN7JeU

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