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オーストラリア・ビクトリア州のブジビム国立公園で、コアラ約700頭がヘリコプターからの狙撃により殺処分されていたことが明らかになった。現地メディアの「The Guardian」などが報じた。

この殺処分は、2025年3月に発生した大規模な山火事によって生息地の主要な食料源であるマンナガムの木が壊滅的な被害を受けたことを受け、ビクトリア州政府が人道的措置として、獣医師や動物福祉の専門家と協議の上で決定したものだという。今回の山火事では、2200ヘクタール(東京ドーム約470個分)もの広大な森林が焼失し、現地の生態系に甚大な被害をもたらしていた。

ビクトリア州政府は、「火災の直接的な影響や、干ばつによる健康悪化、火災後の食料不足により、多くのコアラが生存の見込みが低く、安楽死を必要としていた」と説明している。

■動物保護団体は反発、ネット上も批判が広がる

しかし、野生動物の保護と福祉を訴える団体「Wild Animals Australia」は、「いつから私たちは、多くが赤ちゃん連れであるコアラたちを空から撃ち殺すようになったのか」と強く反発。「干ばつや火災に苦しむ生存者には、二足歩行の動物であれ四足歩行の動物であれ、支援を行うのがオーストラリア流だったはず。これが家畜であったなら、救済措置が取られていたに違いない」と訴えた。

また、動物保護団体『Koala Alliance』もFacebook上で、「管理の名の下に、無防備なコアラたちが木の上で、赤ちゃんコアラの目の前で撃ち殺されています。これは保護ではありません。これは虐殺です。都合が悪くなったときに在来野生動物をどう扱うかという、危険な前例を作っています」と強く非難。「地元の声は無視され、声を上げる野生動物保護活動家や保全の専門家たちも聞き入れられていません」と指摘している。

今回の報道を受け、ネット上では「あまりに乱暴で非人道的だ」「残酷すぎる」「もっと他に手段があったはず」「狙撃は安楽死ではない。命への敬意が感じられない」「自然の成り行きに任せるべき」といった批判が世界中から相次いでいる。

一方で、「山火事で重傷を負ったコアラたちが長く苦しむよりは、苦痛を早く終わらせる選択だったのではないか」「誰も好き好んでこんな方法は取らない。やむを得ない措置だったと思う」「獣医師や専門家との協議のもと決定してるのだから、苦渋の決断だったのだろう」といった、理解を示す意見も一部で見られた。

なお、現地では、動物保護団体などにより、助けられる状態のコアラについては保護・治療を行い、回復後の野生復帰を目指す取り組みも並行して進められている。苦しい状況の中でも、助けられる命を守ろうとする努力は続けられているようだ。

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