スコットランド・ネス湖の湖底で、55年前に“ネッシー”ことネス湖の未確認生物を捉える目的で沈められた水中カメラが、偶然にもロボット潜水艦によって発見された。

英国国立海洋学センター(NOC)が4月1日に公式サイトで明らかにしたもので、同センターの無人潜水ロボット「ボーティ・マクボートフェイス」が性能試験中、湖底に残された係留装置に引っかかってカメラが引き上げられたという。

このカメラは1970年ごろ、「ネス湖調査局」がネッシー撮影を目的に水深180メートル地点へ沈めたものと見られ、内部にはゼンマイ式のインスタマチックカメラが組み込まれていた。カメラは餌のラインが引っ張られると作動し、4枚の写真を自動で撮影する仕組みだった。

内部のフィルムからは数枚の写真の現像にも成功。ただし写っていたのは、ネス湖の濁った水中の様子にとどまり、肝心のネッシーの姿は確認されなかった。それでも、カメラ内部が55年もの間乾燥状態を保っていたという保存状態の良さに、研究者たちは驚いている。
Image:National Oceanography Centre (17502)

via Image:National Oceanography Centre
発見されたカメラやフィルム等は、ネス湖観光の拠点「ネス湖センター」に移され、展示される予定だという。

ネッシーの正体とは?

ネッシーのイラスト (17505)

via ネッシーのイラスト
ネッシーをめぐっては、1930年代以降に多くの目撃証言や写真が世に出回った。その中でも特に有名なのが、1934年に撮影された「外科医の写真」。ネス湖の水面に、長い首のようなものが突き出たシルエットが写ったこの写真は、数十年にわたり「ネッシーの決定的証拠」として信じられてきた。

しかし1994年、この写真は作り物だったことが判明。関係者が死の間際に「おもちゃの潜水艦に首を取り付けて撮影した」と告白し、世界中に衝撃を与えた。ネッシーの信憑性に大きく疑問が投げかけられた瞬間だった。

科学が迫る“怪物”の実像

2019年にはニュージーランドの研究チームがネス湖の水を採取し、環境DNAを分析。その結果、首長竜などの爬虫類の痕跡は一切見つからなかった一方で、大量のウナギのDNAが検出された。これにより「ネッシーの正体は巨大なヨーロッパウナギではないか」とする説が有力とされている。

また、湖の複雑な波や光の反射、流木、鳥などが「見間違い」や「錯覚」を引き起こしてきたとする説も根強く、ネス湖が“何かがいそう”に思わせる自然条件を備えていることも、目撃談の多さにつながったとみられている。

55年の沈黙を破ったカメラは、怪物の姿こそ捉えていなかったが、その正体を科学的に見極めようとした人々の探究心を今に伝える“証人”となったようだ。

関連する記事

ライター