軍事・安全保障の専門家がウクライナ戦争後の「起こりうる未来」を描く『もしロシアがウクライナに勝ったら』(原題:Wenn Russland gewinnt Ein Szenario/著者:カルロ・マサラ、訳者:鈴木ファストアーベント理恵)が、株式会社早川書房より、6月17日に発売された。
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原書は今年の3月に刊行されるやすぐに、ドイツ「シュピーゲル誌」ベストセラーリスト1位を獲得。今後、英語圏をはじめ世界各国での刊行が予定されている。

著者のカルロ・マサラはミュンヘン連邦軍大学の教授で、軍事・安全保障のエキスパート。シナリオ思考を駆使しながら、「ウクライナとの戦争にロシアが勝利した後の世界」を大胆かつ詳細にシミュレートしている。
◆プーチン大統領が引退し、金融界出身の「カリスマ」が後継者に
◆ウクライナでは、ゼレンスキーが大統領選に敗北
◆南シナ海の島をめぐり、中国とフィリピンの紛争が激化
◆ドイツの防衛企業CEOが乗った飛行機がミサイル攻撃により墜落
◆ブリュッセルのNATO本部において緊急会合が招集される……など

■日本にとっても対岸の火事ではない?

本書では、ロシアやヨーロッパの動きだけでなく、アメリカや中国といった超大国の動きも描かれている。「アメリカが欧州ではなくアジア重視の方向に」「インドや中国の支援でロシアはハイテク兵器の開発を行なう」「中国が南シナ海で他国と衝突」といったシナリオも展開している。

著者のカルロ・マサラは、「“ロシアが勝利したら何が起こるのか”という問いは、政治的無関心を打破し、安全保障の現実的な議論を促すために必要なこと」と訴える。

■地政学・戦略学者の奥山真司氏による解説を掲載

20万部超のベストセラー『サクッとわかる ビジネス教養 地政学』の監修も務めた奥山真司氏による解説を巻末に収録。地政学の視点から、今回のシナリオ通りに進んだ場合に日本へ及ぶ影響などを、分かりやすく解説している。

■こんな人にお勧め

軍事や国際情勢に興味を持っている人はもちろん、これからの世界秩序がどう変わっていくのか関心のあるビジネスパーソンにお勧め。また184ページとコンパクトにまとめられているため、多くの人が気軽に読み進めることができる。“地政学”や“シナリオ思考(シナリオ・プランニング)”といった視点でも学びのある一冊となっている。

<内容紹介>

南クリル諸島(北方四島)をめぐる問題を考えれば、これは日本の利害にも関係する。ロシアがこれらの島を問答無用で自国の領土と宣言するのを、さらには中国が尖閣諸島を制圧し、軍事力に訴えて自国の要求をのませようとするのを、何をもって押し止めることができようか。つまり、ウクライナ戦争でロシアが勝利すれば、欧州だけでなく、アジアでもパンドラの箱が開くことになる。本書のシナリオは日本の読者にとっても対岸の火事ではないのだ。(日本版序文より)

<目次>

はじめに
第1章 バルト三国、数年後の未来
第2章 ジュネーブ・国際連合欧州本部「パレ・デ・ナシオン」――三年前
第3章 風向きの変化
第4章 モスクワの雪解け?
第5章 ジュネーブ後のウクライナ――混迷
第6章 限定的な防衛能力
第7章 計画
第8章 マリ共和国キダル、2028年2月2日――ゲーム開始
第9章 ブリュッセル、2028年2月5日――撒かれたエサ
第10章 南シナ海、2028年2月28日――盟友の間接支援
第11章 シアトル、2028年3月26日――急報
第12章 ベルリン――2028年3月27日、4時20分(CET)
第13章 盗聴防止策が施されたビデオ会議――2028年3月27日、8時30分(CET)
第14章 モスクワ――2028年3月27日、9時(CET)
第15章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月27日、14時(CET)
第16章 ワシントン・ホワイトハウス――2028年3月27日、14時15分(CET)
第17章 80°49′35″N 66°27′30″W / 80.82639°N 66.45833°W――2028年3月28日、12時27分(CET)
第18章 ブリュッセル・NATO本部――2028年3月28日、16時(CET)
第19章 トヴェリ州ルジェフ(ロシア連邦)――2028年3月29日、9時(CET)
第20章 モスクワ/北京、2028年3月30日――新たな中心
あとがき
解説/奥山真司


<書誌情報>

書名:もしロシアがウクライナに勝ったら
著者:カルロ・マサラ
訳者:鈴木ファストアーベント理恵
定価:1,760円(本体1,600円+税)
体裁:四六判並製/184ページ
ISBN:978-4-15-210447-2
発売日:2025年6月17日
発行:株式会社早川書房
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