総務省は4月3日、フジテレビとその親会社であるフジ・メディア・ホールディングスに対し、元タレントの中居正広氏による性暴力事案への一連の対応に重大な問題があったとして、厳重注意の行政措置を講じたことを発表した。

この事案は、元タレントの中居正広氏と元女性アナウンサーとの間で生じたトラブルに関するもので、両社が設置した第三者委員会の調査報告書では「業務の延長線上における性暴力」と明確に認定されている。

調査報告書の内容

総務省が受領・確認した調査報告書では、当時のフジテレビ経営陣がこの問題をコンプライアンスや経営リスクとして捉えず、当該タレントの出演を漫然と継続させていた点や、2025年1月に行われた記者会見での不十分な説明が社会的な批判とスポンサー離れを招いたことなど、複数の深刻な問題が指摘されている。

また、フジテレビ全体の企業体質としてセクハラに寛容な文化が蔓延し、ハラスメントの適切な対処がなされない「負の連鎖」が続いていたことも報告されている。

加えて、取締役会による役員人事のガバナンスが機能不全に陥っており、組織の同質性・閉鎖性が背景にあるとされた。

総務省「国民の信頼を失墜」「極めて遺憾」

調査報告書を受けて、総務省は、フジテレビが放送の公共性や言論報道機関としての社会的責任に対する自覚を欠き、「放送に対する国民の信頼を失墜させた」と指摘。

また、放送法が放送事業者の自主自律を前提にしている点を強調し、「今回の事態は放送法の目的に照らして極めて遺憾」とし、フジテレビに対して再発防止と経営陣の意識改革を強く要請した。

さらに、フジテレビが発表した「人権・コンプライアンスに関する対応の強化策」について、4月中にその具体的内容を視聴者やスポンサーに公表し、3か月以内にはその実施状況を総務省に報告するよう求めた。

放送業界全体に波及 民放連・NHKにも要請

今回の事案を受けて、総務省は一般社団法人日本民間放送連盟および日本放送協会(NHK)に対しても、人権尊重、コンプライアンス、ガバナンスの実効性確保を要請。

業界全体に対しても同様の事態を引き起こすことのないよう、取り組みの徹底を促した。

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