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警察庁は2024年(令和6年)における特殊詐欺およびSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況の確定値を公表した 。それによれば、特殊詐欺の被害額は前年比58.6%増の717.6億円 、SNS型詐欺に至っては前年比179.4%増の1,271.9億円に達し 、いずれも過去最大規模となった。

特殊詐欺:被害額717億円超、1日平均1億9,600万円

2024年に認知された特殊詐欺の件数は2万1,043件で、前年比2,005件(+10.5%)増 。被害額は717.6億円に達し、1日平均では約1億9,605万円 、1件あたりの被害額も約350万円と高額化が進んでいる 。

手口別では「オレオレ詐欺」が大幅に増加し、前年比+70.7%の6,752件 。被害額も457.2億円と前年比約2.4倍に膨れ上がった 。警察官などをかたり、捜査名目で金銭をだまし取る手口が目立っている 。

また、キャッシュカード詐欺や預貯金詐欺の件数は減少した一方、副業を名目とした架空料金請求詐欺が急増した。

SNS型投資・ロマンス詐欺:認知件数2倍以上、被害額は前年比3倍弱

SNSを通じた新たな詐欺の急増も明らかになった。2024年に認知されたSNS型投資・ロマンス詐欺は1万237件(+166.2%)、被害額は1,271.9億円(+179.4%)と、いずれも過去最多。1日あたりの被害額は約3億4,752万円にのぼる。

とりわけ「SNS型投資詐欺」が深刻で、被害額は前年比約3倍の871.1億円。振込や暗号資産を通じて被害が拡大し、1件あたりの平均被害額は約1,358万円と高額だ。

詐欺師が利用するSNSはInstagram(23.1%)、LINE(17.5%)、Facebook(15.5%)が主で、TikTokの使用も増加傾向にある。犯人は投資家や著名人を装い、バナー広告やDMで接触し、被害者の信頼を得て金銭をだまし取っている。

高齢者と男性被害者が多数 “受け子”の約2割が少年

特殊詐欺全体では、高齢者(65歳以上)の被害が65.4%を占め 、依然として主要なターゲットとなっている。一方、SNS型詐欺では40代~70代が多数を占め、男性が女性を上回っており 、幅広い年齢層で被害が確認された 。

また、「受け子」など現場で詐欺に加担する役割で検挙された人物のうち、約2割が少年だった 。SNSで募集されたケースが多く 、犯罪への“巻き込まれ”が深刻化している 。

警察庁は総力対応へ 「TAIT」チームが全国連携で捜査支援

警察庁は、2024年4月から「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を全国に設置し、警察間の連携を強化 。同年4月から12月末までに3,582件の捜査共助を実施し 、323件の詐欺事件を検挙するなど一定の成果を上げている 。

さらに、犯罪対策閣僚会議により政府全体としても「国民を詐欺から守るための総合対策」を打ち出し 、官民連携での啓発活動も強化している 。

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