木曜夜10時放送のフジテレビ系ドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」が俄然面白くなってきた。

竹内結子主演で2010年にスペシャルドラマ、2012年に連続ドラマ、2013年映画化年され、原作ファンも多い『ストロベリーナイト』のリメイク版とあって、放映前から賛否両論あったのは否めない。

以前の作品を愛するがゆえに抵抗を感じる視聴者の声もあったが、見ているうちに徐々に引き込まれ「話が面白いからキャストが変わっても面白い」「リメイクを嫌っったけど、イメージ壊れない」「サーガの方が原作に近い」といった声も増えている。

今やひとつの指標でしかない視聴率は6%台でほぼ安定しており、この木曜22時CXの木曜劇場の枠でいえば、2年間平均視聴率7%未満で、通常運転といったところ。5月15日にリリースした亀梨和也が歌うドラマ主題歌の「Rain」は、週間ランキングでビルボード1位、オリコン1位と高い支持を得ている。

■姫川と菊田の関係性が見どころのひとつ

『ストロベリーナイト・サーガ』のカギを握るひとつが、警視庁捜査一課殺人犯捜査第10係の警部補、姫川玲子(二階堂ふみ)と年上の部下、菊田和夫(亀梨和也)の関係性だ。KAT-TUNの亀梨和也を消し、無口でもさっとしたテンションが低めの役とあって当初は、出演シーンも少なく、あえて存在を消し目立たなかった菊田だが、回を重ねるごとに、姫川を気にかけ特別な感情な感情を抱くようになり、徐々に存在感を増してきた。事件が主題なので恋愛関係は表には出ないものの、ピリリとしたスパイスとなってドラマを面白くしている。

第5話では、夜道で尾行に気づかれまいと、カップルを装う菊田が機転をきかせてとっさに姫川をハグするシーンがあったが、あくまで一瞬の対応。

そして、第6話の終盤では、ひとり物思いにふける姫川に声をかける菊田のシーンのセリフがいい。
姫川「菊田は知らないでしょ、私のそういう怖いところ」

菊田「主任のそういうところは知りません。ですが、主任のそうじゃないところはいっぱい知っています」。そして小雨が降り出す。
「そうじゃないところ」「いっぱい」という表現には菊田の無骨ながらも率直な気持ちが現れ、距離感がありながらも、姫川をリスペクトしつつも深く理解し、守りたい、労りたい存在として気にかけているのがうかがえた。

■雨の中、3人の複雑な思いが交差する『インビジブルレイン』

そして23日に放映された、7話の『インビジブルレイン 前編』。暴力団組織「六龍会」の構成員が殺害された事件だが、過去の事件を隠蔽しようとする警察上層部から追求しないよう指示される。しかし、姫川は姫川班に迷惑がかからないよう、単独捜査を行う。その中で、暴力団「極桜会」の会長、牧田勲(山本耕史)と出会い、姫川は牧田の素性を知らないまま惹かれていく。

終盤、情報があるからと喫茶店に呼び出される姫川を心配して菊田は何度も電話をかけるがスルーされてしまう。喫茶店を出た牧田が暴力団の構成員にからまれて殴り合いとなり、はだけたシャツの胸元の入れ墨が見え、姫川は全てを察する。しかし、そこで終わりではなく、牧田は姫川の手をとり、雨の中駆け出し、牧田は自分の素性を隠さずに明かす。主題歌の「Rain」が流れ、牧田と姫川の二人が手をつなぎ雨の中を走り逃げる様子を見かけ、立ち尽くす菊田の表情がせつない。

『野ブタをプロデュース』『妖怪人間ベム』などで、切ない演技に定評がある亀梨。「亀梨くんが菊田になってる。菊田でしかない演技がすごい」「切ない」「全身でせつなさを表現しながら内に秘めた思いが見える」など、切なさ、憂い、哀しさなど、複雑な感情をセリフではなく、目と表情の演技が絶賛されている。

また、3人の表情、雨が降る情景、主題歌「Rain」が重なるラストシーンが印象的だ。視聴者は「今までの菊田の姫川への想いが抑え気味だったのが、逆に良かったように思う」「ずっと姫川を見てきた菊田の思いがここでつながった」「目を離せない、1時間があっという間」「来週が楽しみで1週間も待てない」と、ハラハラしながら菊田に心を寄せる。

映画のように詩的で美しく丁寧に情景や心情を丁寧に描いた「ストロベリーナイト・サーガ」。前作とはまた違う魅力作品として見ると、沼のようにハマってしまう人も。筆者も毎回、違う涙を流してみている。KAT-TUNの亀梨和也を封印した大人の渋い演技は、俳優亀梨和也の第二章の始まりか。

30日(木)放送の8話『インビジブルレイン 後編』の展開が楽しみだ。ドラマは11話まで予定されている。
(ライター/佐藤ジェニー)

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