8月9日にスタートしたKAT-TUNの全国ツアー『KAT-TUN LIVE 2019 IGNITE』が、後半戦に入った。充電期間が明けて3人体制で再スタートしてからCASTに続く2回めの全国ツアーだ。

今回のライブのテーマである『IGNITE』は、「発火させる」「燃え上がらせる」という意味。テーマに特化した構成ではないが、約500発の炎の特攻、ファンのハートに火を点け燃え上がらせる仕掛けや演出が盛りだくさんの内容で、3人の新体制の方向性が伝わるライブになった。ライブ『IGNITE』の7つの発火ポイントをハイフン(KAT-TUNファン)目線から紹介する。

■その1 アルバム&カップリング祭りの選曲がすごい

まずファンの評価が高いのが選曲だ。全28曲中14曲が7月31日発売の10thアルバム『IGNITE』の収録曲。まさにニューアルバムを引っさげたツアー。また、シングル曲よりシングルのカップリングが多く、これまでハイフンから「ライブで聞きたい、見たい曲」と熱望されていた『FEATHERS』、『雨に咲く哀、夜に泣く藍』、『JET』を初披露。まるでファンのリクエストが届いたかのような選曲に、イントロが流れた時点で歓声が上がった。

シングル曲はおなじみの『Keep the faith』、上田竜也が主にラップを担当し再録した『Real Face#2』、これまでライブでのお披露目が少なかった『Dead or Alive』の3曲。そして、Jr.時代から歌っている懐かしい曲も。特にアルバム『IGNITE』を聴き込んだ人、長年のファンにはたまらないようで、SNSでも「選曲が神ってる」「生で聞くことはないと思った曲が聞けて感涙」「シングルをつなぐ選曲よりいい」「過去最高の選曲」と絶賛する声が目についた。

■その2 激しく燃え上がる火、炎がすごい

KAT-TUNのライブといえば、炎、火、特効が目玉だが、『IGNITE』はオープニングから火で攻めてくる。炎、火の玉が上から降り、下から噴水のように吹き出し、斜めから花火のように飛び散りクロスするなど、全部で約500発の火薬、炎、火花を使った演出は迫力満点。「炎の量に驚いた」「いきなり火と戦うKAT-TUNは火薬の申し子」「見ごたえある」と、圧倒されるファンが続出した。

上田竜也のソロでは、花道に吹き上がる炎の間を歩く演出も。火傷や消防法が心配なレベルだが、火を美しい芸術に昇華させてしまうKAT-TUN、そのオーラは炎に負けていない。

■その3 異次元へ誘う幻想的な演出がすごい

映像とフライングを組み合わせ、異次元にタイムスリップする演出が『ハロハロ』だ。降りてきた紗幕の後ろで、白いコートを着た3人が額縁の絵に入り、漆黒の夜に吸い込まれていく。異国か宇宙へと迷い込み、浮遊し、もがくように回転する、別世界を旅するような幻想的な演出だ。「USJのアトラクションみたい」「面白くて癖になる曲」「最高だった」と、SNSでも支持する人が多い。

『ハロハロ』は、3人の動きのバランスがいい正面から見るのがベストだが、紗幕の後ろが見える斜め横から見るのも仕掛けがわかって面白い。亀梨和也は、『DREAM BOYS』の舞台でフライングや回転といったアクロバット経験が豊富なだけにフライングや回転が美しい。そして、運動能力の高さを感じさせる上田。一方、高所が苦手な中丸雄一は回りきれなかった回もあり、中丸ファンは気を揉んだり、胸をなでおろしたりと気になるポイントのひとつになっている。

その『ハロハロ』に続く『Dead or Alive』は、Jr.が振るLED電球の集合体のようなフラッグにメンバーの顔が現れる。電飾と背景映像がリンクして、ミュージックビデオを見ているよう。

■その4ユーモアもすごい。ファンの一体感がすごい

アルバム『IGNITE』通常盤のボーナストラックとして収録されている『We are KAT-TUN』。作詞は中丸雄一で、一人舞台で行ったコールコーナーがベースになっている。衣装が重い、降ってきた羽にむせるといった「KAT-TUNライブあるある」を歌詞にしたもの。中丸のうちわの向き、亀梨の舌打ち、上田のヤンキー座りなど自虐的な部分とガチ恋口上で構成されている。歌詞に合った背景映像とメンバーの小ネタがミニコントのように展開していく。ジャニーズグループにあるメンバー紹介ラップとはひと味もふた味も違う。

ハイフンに課せられた課題が、曲に合わせての振り付けとコールで、通常盤購入者は3人による振り付け講座の動画が見られる。難易度はそこそこ高いが、ライブの開場から開演までの待ち時間に3人のイラストを使った映像で指導してくれる。コールは回を重ねるごとに声が揃って、一体感が生まれ、指導されないコールまで加わり、すっかりKAT-TUNに教育されている感がある。

■その5 色気がすごい

KAT-TUNの特徴はセクシー&ワイルドなパフォーマンス。ジャニーズのセックスシンボルといわれる亀梨は、オープニングでは黒いレースの目隠しをして登場し、ファンをわかせた。歩き方、所作、ダンス、指先など存在自体が妖艶で、はらりと目にかかる前髪、首筋に這わせる指先、髪をかきあげる仕草を見ると、色気とは生まれもった資質だと思わせる。

KAT-TUNの三人三様のセクシー&ワイルドを体現できるのが『甘い乾き』だ。間奏での三人揃っての腰振りには客席から悲鳴と歓声が。上田はワイルドで美しい肉体が放つセクシーさ、中丸は淡々としたクールで乾いたセクシーさ、亀梨は甘い蜜のようなセクシーさで悩殺する。三人とも神々しい近寄りがたさ、品があり、自然体からにじみ出る大人のセクシーさだ。

■その6 会場の使い方、魅せ方がすごい

3人という人数は他のジャニーズのグループと比べると少ないが、メインステージ、センターステージ、ムービングステージ、バックステージ、花道、外周、リフターも使いながら、三方に分かれたり一箇所に集まったり、会場を所狭しと動き回り使いこなし、1曲1曲こだわって魅せる。センターのムービングステージは、フラッシュツリーの進化版か四方に柱型の照明が立ち、さらに上から屋根のような照明が降りてくる、浮き舞台のようなしつらえが斬新。

しっとりと聞かせる楽曲『雨に咲く哀、夜に泣く藍』では、3人がJr.とともに3つのステージに分かれる。メインステージでは上田が椅子を使ったダンス、センターステージでは亀梨が黒いハットをかぶり白い薔薇を手にダンス、バックステージでは中丸が傘をさしながらダンスと、ひとつの会場で縦一直線にいながら3つの異なる世界が展開する。正面から、真横から、たとえスタンド天井席でも見ごたえがあり、これが「KAT-TUNのライブはどこから見ても楽しめる」と言われる所以だ。

■その7 ジャニーさんに対する追悼の気持ちがすごい

ライブ本編のエンドロールで流れる映像。夕焼けを見つめて佇む3人の背中が映り「子供は大人になれるけど、大人は子供になれない。これからも変わらない想いが、未来を照らす」という文字がスクリーンに映し出される。「子供は大人になれるけど、大人は子供になれない。」というのは、ジャニーさんの言葉。 スタッフとしてGeneral Producerとしてジャニーさんのお名前もあり、ジャニーさんがそこにいて見守っているかのよう。「ジャニーさんの遺志を引き継ぐ」という3人の強い思いを感じる。

炎、闘い、デンジャラスでありファンタジー、アート、セクシー、キュートなど様々な要素を詰め込んだ、1公演1公演、熱く燃え尽きるライブになっている。9月29日まで続く後半戦では、どんなサプライズや変化があるのか楽しみだ。
『KAT-TUN LIVE 2019 IGNITE』 セットリスト

・Diamond Sky(★)

・FEATHERS

・Fly like a ROCKET(★)

・Keep the faith

・ハロハロ(★)

・Dead or Alive

・JET 

・ノーマター・マター

・PERFECT

・Reflect Night(★)

〈MCコーナー〉

・百花繚乱(上田竜也ソロ)(★)

・アブストラクト(中丸雄一ソロ)(★)

・CANT’CRY(亀梨和也ソロ)(★)

・We are KAT-TUN(★)

・A MUSEUM(★)

・雨に咲く哀、夜に泣く藍

・甘い乾き(★)

・フリーズ

・SHE SAID…

・THE D-MOTION

・アイノオカゲ

映像

・GO AHEAD(★)

・DANGER(★)

・クロサンドラ(★)

アンコール

・Real Face#2

・Peaceful days

・僕らなら!(★)

(★)はアルバム『IGNITE』収録曲
〈ライター/佐藤ジェニー〉

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