NHKドラマ10『これは経費で落ちません』全9話が好評のうちに終了し、ジャニーズWESTの重岡大毅が演じた、“山田太陽ロス”の声が上がっている。

『これは経費で落ちません』の主人公、石けんメーカーの経理部に勤める森若沙名子さん(多部未華子)は、規定や規約に忠実で正論を述べ、男性と付き合った経験がない独身アラサー。その森若さんが経理審査を通して見えてくる社員の嘘、悩み、様々な問題を同僚たちと協力しながら解決していくストーリー。

経費で落とせないものは落とせません、とはっきり言う反面、必要な経費は正しく使うべきという思いやりも持ち合わせている。融通がきかないほど真面目で、付き合いにくそうな森若さんの良さを見抜いて、猛烈にアプローチするのが山田太陽君だ(重岡大毅)。経理にからむ人間模様がメインテーマだが、“森若さん&太陽くん”カップルの可愛さが視聴者を魅了した。

多部未華子の提案で山田太陽役に抜擢

重岡大毅は、今年、『節約ロック』、『ストロベリーナイト・サーガ』と立て続けにドラマに出演。前2作はジャニーズの先輩との共演でバーター的な印象があったが、いい仕事をして、しっかりと爪痕を残した。今回は、多部未華子が『これは経費で落ちません』の出演依頼があった頃に重岡が主演のNetflixオリジナルドラマ『宇宙を駆けるよだか』を見ていたため、「山田太陽は重岡くんがイメージに合っているのでは」と提案したという。しかも、プロデューサーから「天真爛漫でありながらバカではない、その匙加減を演じられる役者」という高評価を受けて山田太陽役に抜擢されたという。

始まってみれば、重岡大毅の繊細で大胆な演技力は、まさに山田太陽君にぴったり。出演者テロップにジャニーズWESTの名前が出ていないこともあり、一般視聴者からは「太陽君がジャニーズの人とは知らなかった」「若手の俳優だと思った」と驚く声が多かった。

こんなストレートな告白に落ちない女子はいない?

森若さんに恋をした太陽君は、何度も食事に誘うがけんもほろろに断られ、入手したメールアドレスも「消してください」と一蹴。断られても、避けられても、めげずに太陽のように嫌味のない笑顔で誘う太陽君は、まるで犬嫌いの人にもしっぽをふって飛びつく「ワンコ」のよう。なかなか進展しない二人の仲だが、太陽君の直球アプローチに森若さんの堅い心の扉が徐々に開いていくのだ。

森若さんが将来一人で生きていくのかと悩んでいる時には、「僕が隣にいます。一生隣りにいます」とプロポーズのように宣言され、悩んで一人泣いている時にふっと現れて「一人になりたかったんですよね、でも、ほっとけないです。一緒にいたいです」と真正面から体当たりする優しさがようやく森若さんに伝わる。「こんな風に思われたい」「これで落ちない女子はいる?」と、いつのまにか太陽君の恋を応援しヤキモキしていた視聴者は、ほっと胸をなでおろした。

オクテ女子も落ちる「急がずゆっくり行こう」

太陽君は、森若さんが「愛おしい」「可愛くて仕方がない」という気持ちを正直に表情、言葉に出して伝えてくれる。例えば、初めて仕事の愚痴をこぼした時、「愚痴をこぼしてくれて嬉しい」と喜んだり、ようやく名前で呼んでもらえて顔をクシャッとさせて思わずハグしたり。こんなリアクションをされたら、彼女冥利に尽きるのは間違いない。

けれども、森若さんにとって太陽君は初の彼氏で、手をつなぐのもキスも初めて。ファーストキスにさしかかる瞬間、にんにくのきいた肉まんを食べた後でもあり、全力で駆け出すが、その日からリップクリームを何度も塗りまくる。次のデートでいい雰囲気になった時、心の準備も整い目をつぶり唇を突き出す森若さんの頭をポンポンして「ゆっくりいきましょう」と微笑む太陽君。押すばかりではない、時には引く。無理はしないで二人の関係を急がす大事に育てていこうという太陽君が素敵すぎて、ため息モノだ。

そして、ふたりのファーストキスは、森若さんの気持ちが熟した後。後ろを向いてリップクリームをくるくる塗って「お待たせしました!」と唇をとがらせる森若さんに飛びつかず、「可愛い、殺す気か!」と床に崩れ落ち、ごろごろ転がる太陽君が、アラサーとは思えないほど可愛い。

遠距離恋愛期間終了後の二人に会いたい

最終回、太陽君は香港への出向が決まり、リストラの危機にさらされる森若さんに「俺が稼ぎます、俺が食わせます」と、プロポーズする。しかし、その言葉は、真摯に経理の仕事に取り組む森若さんを心から理解していないと気づいて、「森若さんにふさわしいかっこいい男になってきます、待っていてください」と宣言する。SNSでは「彼女を理解して支える彼氏最高」「こんな同僚に恋して、恋されたい」「森若さんが羨ましい」という声が相次いだ。

香港に発つ直前、「待っててくださいね」と領収書の裏に書いて渡す太陽君と、追いかけてハグするかと思えば「これは経費で落ちません」と呼び止め、領収書に「待っています」と付箋を貼って渡す森若さん。それを見た太陽君は、セリフはないが泣き笑いの表情がなんともせつなく、思わず涙をこぼした人もいたようだ。

NHKドラマ班のツイッターでは「またどこかでお会いできる日を夢見て」というメッセージがあった。太陽君の香港出向が終わり帰国する二年後の二人は、無事にウエディングベルを鳴らすことができるのか。それとも、ひと波乱、ふた波乱あるのか。見届けたい気がするのは筆者だけではないはず。

〈ライター/佐藤ジェニー〉

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